農業白書から見る農業経営体の現状

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平成28年度食料・農業・農村白書(農業白書)からわかる農業経営体の現状は次のとおりです。

農業経営体の経営状況

  • 販売農家数は10年間で32%減少(196万戸→133万戸)
  • 農産物売上高が大きい販売農家は、出荷先が農協以外である割合が増加

売上高300万円未満:農協67.0%、それ以外33.0%

売上高5億円以上:農協44.0%、それ以外56.0%

  • 消費者に直接販売を行っている販売農家のうち、農産物売上高が大きい販売農家ほど、自営の直売所やインターネットで販売する割合が大きい

売上高300万円未満:自営の直売所16.0%、インターネット販売1.9%

売上高1億円以上:自営の直売所42.0%、インターネット販売23.2%

  • 法人経営体数は10年間で2.2倍に増加(8700経営体→1万8857経営体)
  • 農産物販売金額全体のうち、10年間で法人経営体のシェアが大きく増加(15%→27%)

農業生産関連事業への取組

  • 極めて少数の売上金額が大きい販売農家が、全売上金額の半分以上を売り上げている

関連事業売上1000万円以上の販売農家:

農家数シェア:6%(1,880戸/3万123戸)

売上金額シェア:66%(973億円/1481億円)

  • 少数の売上金額の大きい経営体が関連事業の大部分を担っている

関連事業売上1000万円以上の法人経営体:

経営体数シェア:36%(1547/4250)

売上金額シェア:97%(2744億円/2821億円)

農業労働力

  • 労働力が世帯員(家族)から雇用者へシフト

基幹的農業従事者数:10年間で22%減少(224万人→175万人)

常雇い人数:10年間で1.6倍(6万1094人→9万9393人)

  • 法人経営体の雇用数が増加し、特に若い農業者の受け皿となっている

法人経営体の常雇い人数:10年間で2倍(5万2888人→10万4285人)

法人経営体の常雇いのうち44歳以下:47%

  • 新規就農者は6万5030人で前年比13%増
  • 新規就農者のうち49歳以下は2万3030人となり、平成19年以来最多

このように、農家数は全体として減っていますが、他方で農業法人を中心とした大規模農家が増加しています。そして、大規模農家は従来とは異なる販路(直接販売など)の割合を増やし、従来のような農協への出荷のみに頼らず、事業を拡大しています。

また、農業労働力については、世帯員(家族)である農業従業者は減っていますが、法人経営体が雇用する一般の従業者が増加しています。

これらの農業の現状からは、その他の産業と同じように農業が“ビジネス”になってきていることが明らかです。だからこそ、農業もその他の産業と同じように、ビジネスとして経営していく必要があるのです。

 

※ 販売農家とは、経営耕地面積が30アール以上または過去1年間の農産物販売金額が50万円以上の農家を指します。なお、経営耕地面積が30アール未満で、かつ過去1年間の農産物販売金 額が50万円未満の農家を自給的農家といいます。

※ 基幹的農業従事者とは、農業に主として従事した世帯員(農業就業人口)のうち、調査期日前1年間のふだんの主な状態が「仕事に従事していた者」のことをいいます。

※ 常雇いとは、主として農業経営のために雇った人で、雇用契約(口頭の契約でもかまわない。)に際し、あらかじめ7か月以上の期間を定めて雇った人をいいます。

 

なお、平成28年度農業白書の全文は以下の農水省のHPから見ることができます。

http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h28/zenbun.html

また、農業関連用語は、以下の農水省HPから引用しました。

http://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2000/dictionary_n.html

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