農産物の取引

農産物の瑕疵担保責任と契約書

農産物の取引のために売買契約書を締結することとなった場合、その中に“瑕疵担保責任”という条項があることがあります。その条項では、「商品の受領後6ヶ月以内に商品に隠れた瑕疵が発見された場合、売主は買主に対して損害賠償責任を負う。」といったことが規定されています(損害賠償責任以外に代替品の納入や代金の減額などが規定される場合もあります。)。

この条項に基づき、売主は不具合(キズや傷みなど)のある商品を納入した場合には損害賠償責任等を負うことになります。しかし、この瑕疵担保責任の規定を設ける際に、一般的な売買契約のひな型をそのまま使用すると農産物の取引の実態にそぐわないことになることがあります。その結果、売主が過度の負担を負うこととなる可能性がありますので、その内容に注意が必要です。

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生産者の法的責任

農産物を食べた消費者が食中毒になった場合、その農産物を生産した農家・農業法人はどのような法的責任を負う可能性があるのだろうかと心配になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

日本だけでなく世界各国には、PL法という法律がありますが、この法律により責任を負うことはあるのでしょうか。また、PL法以外の法律によって責任を負うことはあるのでしょうか。

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農産物取引のトラブル

トラブル

農産物の取引には、様々なリスクが潜んでいます。そのため、リスクを適切に把握し、そのリスクを回避するために契約書を作ることがとても重要です。(農業ビジネスにおける契約書の必要性については、“農業ビジネスと契約書の必要性”をご覧ください。)

しかし、契約書をきちんと作った場合でも、リスクをゼロにすることはできません。様々なリスクが実現してしまい、トラブルとなってしまうことがあります。

ここでは、どのようなトラブルが起こるのか、トラブル解決の方法とトラブルを回避するためにはどのようにしたらよいのかについて解説します。

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農産物取引の契約書の種類と作り方

農産物取引契約書

農産物の取引には、農産物の特徴を踏まえた契約書を作らなければなりません(詳細は“農業ビジネスと契約書の必要性”をご覧ください。)。

農産物の取引は基本的に全て売買契約です。契約書の名称は様々なものがありますが、農産物の取引は、農家や農業法人が生産した農産物を小売業者・レストラン・加工業者などに売る(小売業者などが買う)という売買契約です。

このように農産物の取引は売買契約が基本となっていますが、その内容を見ていくと農産物の特徴や取引の形態に応じて、いくつかのバリエーションがあります。

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農業ビジネスと契約書の必要性

農産物取引

農協や卸売市場に出荷する場合には、一般的には画一的な取扱いがされており、大きなトラブルとなりにくいことから、“契約書”の必要性が感じられないかもしれません。

しかし、スーパーマーケットなどの小売業者や食品加工業者、食品商社などとの直接取引は、取引先ごとに取引の内容が全くと言ってよいほど異なっています。そのため、実はお互いの認識がずれていることがしばしばあります。

このような場合に、この認識をすり合わせる交渉をせず、“契約書”を作らないままに取引を進めると、後に大きなトラブルとなってしまいます。

このようなトラブルを防止するために、直接取引が拡大している農業にも“契約書”が必要になっているのです。

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農産物取引と法律

農産物取引

かつて農産物の出荷先のほとんどは農協でした。しかし、近年は農業法人・農家からの出荷先は農協以外にもどんどん広がっています。

現在は、農協や卸売市場以外にも、小売業者、食品製造業者、飲食店などの外食業者などに直接農産物を出荷しています。さらに、直売所やインターネットを通じて一般消費者に直接販売する量も増えています。

農産物の直接取引は売買契約に基づいて行われています。そこでは“契約”であることが意識されていないかもしれませんが、法律の世界から見ると、すべての取引の際に“契約”が締結されています。売買契約は民法に基づくものですが、販売先の多様化によって取引に関わる法律も多様化し、民法以外の様々な法律も関連しています。

さらに、直接取引の拡大とともに契約条件とそれを記載した“契約書”がますます重要になっています。

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