農業ビジネスになぜ法務が必要なのか

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これまで、農業のビジネス化に伴い、法的思考や法的な見方を取り入れることが必要だと繰り返していますが、それはなぜでしょうか。

その理由は、農業をビジネスとして進めていくにあたり、多くの法律が関わることに加え、法的トラブルの発生が避けられないからです。

農業ビジネスに関するする法律

具体的に、農業ビジネスを展開していく過程で関連する法律を挙げてみたいと思います。

  1.  農地の取得・利用→農地法、民法など
  2.  法人化(株式会社の設立)→会社法、商業登記法
  3.  従業員の雇用→労働契約法、労働基準法などの労働法
  4.  金融機関からの資金調達→民法など
  5.  新たなブランドの立ち上げ→商標法、種苗法など
  6.  食品商社・レストラン等への直接販売→民法、商法など
  7.  消費者への直接販売→民法、消費者契約法など
  8.  他企業との業務提携・共同開発→民法、商法など
  9.  海外への販売→外国法、条約など
  10.  事業承継→会社法、民法など

農業ビジネスに必要な法務

では、次に上記の各段階で必要な法務はどのようなものがあるか挙げてみます。

  1.  農地の取得・利用→農地法、民法など→農業委員会への申請、不動産売買契約書・不動産賃貸借契約書作成
  2.  法人化(株式会社の設立)→会社法、商業登記法→会社設立手続・登記申請
  3.  従業員の雇用→労働契約法、労働基準法などの労働法→労働契約書作成、就業規則作成、賃金制度策定
  4.  金融機関からの資金調達→民法など→金銭消費貸借契約書作成
  5.  新たなブランドの立ち上げ→商標法・種苗法など→商標登録手続、品種登録手続
  6.  食品商社・レストラン等への直接販売→民法・商法など→売買契約書作成、債権回収
  7.  消費者への直接販売→民法・消費者契約法など→クレーム対応
  8.  他企業との業務提携・共同開発→民法、商法など→業務提携契約書・共同開発契約書作成
  9.  海外への販売→外国法、条約など→外国法の調査、売買契約書作成
  10.  事業承継→会社法、民法など→事業承継プラン策定、各種契約書作成、遺言書作成

農業ビジネスに関する法的トラブル

さらに、ビジネスを展開していく中で、以下のような法的トラブルに見舞われることがあります。

  • 従業員に残業代を支払っていなかった
  • 問題のある従業員を解雇した
  • ブランドを無断で使われた
  • 取引先が代金を支払わない
  • 取引先が倒産した
  • 消費者から健康被害があったとクレームが出た
  • 兄弟と相続で争いになった

農業法務が必要になる

ビジネスを展開していくうえでは、必ずと言っていいほど法的トラブルが生じてしまいます。そして、トラブルとなってからでは、取り返しのつかない状況になったり、解決までに多くの労力と費用がかかることも非常に多くあります。だからこそ、法的トラブルが生じないようにするために、事前の対応をする必要があるのです。

農業のビジネス化が進み、事業展開をしていくことになると、事後的な法務(トラブル解決)に加えて、事前の法務(トラブル予防)についても重要性が高まっていくと言えるでしょう。

このように、農業ビジネスを経営するということは、農業法務が必要になるということをも意味するのです。

 

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