農業の“ビジネス”化

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
田園風景

農業が“ビジネス”になった

近年、農業“ビジネス”(アグリビジネス)に注目が集まっています。

もちろん、以前から販売を目的として農業を営んでいる農業者はたくさんいましたから、そういった意味では農業は昔からビジネスとして行われていました。しかし、従来の典型的な農業は小規模な家族経営であり、一部の大規模農家を除けば、農業をビジネスととらえている人は少数だったと言えます。

従来の農業は政府による規制と保護によって成り立っていたと言っても過言ではありませんでした。それが、ここ数十年にわたって、条約や法律の改正によって徐々に規制と保護が縮小され、日本の農業は海外産の農産物との競争にさらされるようになったり、後継者不足により廃業せざるを得ない事例が相次いでいます。

しかし、このままでは日本の農業は衰退の一途を辿り、農業が日本からなくなってしまう日が来るかもしれません。

そこで、政府も日本の農業を活性化させるために様々な施策を打ち出しています。このような施策の考え方の一つが、農業を“ビジネス”であると捉え、農業を“経営する”というものです。

政府は、農業を補助金などで保護する対象から、日本の農業を強くして競争力のある産業に変換しようとしています。これからの農業に対する施策は、保護が目的ではなく競争力強化が目的となっていくでしょう。

そのためには、農業をビジネス化して、農業経営をしていなかければならないのです。

農業法人の増加

実際に、この10年間を見ると、農業のビジネス化が進んでいます。農業のビジネス化を表しているということができる指標として、農業経営体の法人化の増加が挙げられますが、平成17年に法人だった農業経営体は8,700法人だったものが、平成27年には18,857法人にまで増加しており、この10年で2.2倍にまで増えました。

そして、農産物の販売金額全体に占める法人経営体のシェアは、平成17年は15.4%だったものが、平成27年には27.3%を占めるまでになっています。(平成28年度農業白書)

農業をビジネス化することにより、家族のみの経営から第三者が関与する経営に変わっていくことができます。第三者の関与により、家族以外の従業員を雇用するようになったり、金融機関やファンドなどの資金を受け入れることが可能となり、規模を拡大させたり、効率化を図ることができます。

こうして、グローバル化が進む世界の中で、日本の農業の競争力を高め、農業を日本の重要な産業とすることができるのです。

そして、農業のビジネス化は、単に経営者のためだけではありません。ビジネス化により、競争力のある農産物を生産することで、日本の食料自給率を上げ、安定的な食料を提供することができます。さらに、直接間接に新たな雇用を創出することで社会への貢献を果たすこともできます。

このように、農業のビジネス化は日本の農業が生き残るため、さらには発展するために必要なのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加