農業への新規参入の検討ポイント-農地の所有とリース

すでに事業を行っている企業が新たな事業として農業に参入することを検討することがあります。その理由としては、外食や小売りといった既存事業とのシナジーを期待する場合もあれば、既存事業の成長に限界があるため、全く異なる分野である農業に参入しようとすることもあるでしょう。また、既存事業は順調であっても、今後の環境の変化などに対応するために、事業分野を増やすために農業に参入しようとすることもあると思います。そのほかにも、SDGsへの注目の高まりから、人々の食を確保するために農業に参入することを考えている企業もあるかもしれません。

このように、企業が農業に新規参入をする目的はさまざまであるものの、実際に農業に参入するためには検討すべきポイントが数多くあります。そこで、ここでは最初の関門ともいえる「農地を所有するか、リースするか」について考えていきたいと思います。

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『経営者・スタートアップのための起業の法務マネジメント』

起業の法務マネジメント

2020年1月18日に『経営者・スタートアップのための起業の法務マネジメント』が出版されることになりました。

これまで多くの農業法人や農業ビジネス関連のスタートアップ企業の法務に携わってきましたが、農業法人やスタートアップ企業では経営者がやらなければならないことが数限りなくあり、法務に取り組む余力がないことがほとんどです。

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農業法人のM&Aのプロセス

これから、農業の生産性向上の一つの方策として、農業経営体、なかでも農業法人の大規模化がますます進んでいくことが予想されます。そして、その大規模化の方法として、農業法人のM&Aが増加していくでしょう。

一般企業に比べると農業法人のM&Aの実例は多くありませんが、基本的なM&Aのプロセスや当事者は一般的なM&Aと同様です。ここでは、M&Aの当事者とプロセスについて解説します。

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全面コンクリート張り農地の“農地”化

農業の人手不足対策、生産性向上のためにスマート農業をはじめとした機械化、ロボット化を進めることが重要であることは、もはや共通認識といってもよい状況です。機械化、ロボット化を進めるために農地の底面を全面コンクリート張りにした場合、これまでの取り扱いではその土地は農地法における“農地”ではないものと扱われ、農地である場合の税務面のメリットなどを受けることができなくなっていました。

このような現状を変えるため、今年5月11日に農地法を改正する法律が成立し、全面コンクリート張りの農業ハウスなども、引き続き“農地”として取り扱われることになりました。

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農業法人のM&A

近年、農業法人が他の農業法人を買収するという事例が徐々に増えています。特に後継者不足に悩んでいる農業法人にとっては、M&Aによって会社の資産や経験を活かすことができ、従業員の雇用も継続することができるというメリットがあり、他方で買収する農業法人は事業の拡大や事業所の多様化によるリスクヘッジをはかることができますので、今後も農業法人のM&Aは増加していくことが予想されています。

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農産物の瑕疵担保責任と契約書

農産物の取引のために売買契約書を締結することとなった場合、その中に“瑕疵担保責任”という条項があることがあります。その条項では、「商品の受領後6ヶ月以内に商品に隠れた瑕疵が発見された場合、売主は買主に対して損害賠償責任を負う。」といったことが規定されています(損害賠償責任以外に代替品の納入や代金の減額などが規定される場合もあります。)。

この条項に基づき、売主は不具合(キズや傷みなど)のある商品を納入した場合には損害賠償責任等を負うことになります。しかし、この瑕疵担保責任の規定を設ける際に、一般的な売買契約のひな型をそのまま使用すると農産物の取引の実態にそぐわないことになることがあります。その結果、売主が過度の負担を負うこととなる可能性がありますので、その内容に注意が必要です。

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職場のハラスメント

ハラスメント

新聞やテレビ、ネットニュースでセクハラやパワハラに関する話題を目にすることが多くなりました。セクハラやパワハラは多くの職場で身近な問題になっており、その与える影響も小さくありません。

農業においても、セクハラやパワハラの問題が明らかになった事例が増えています。農業を含め事業を発展させるためには、人がいなければなりません。しかし、ハラスメントが横行している職場からは人が離れてしまい、事業を発展させることはできません。そのため、ハラスメント問題には積極的に取り組まなければならないのです。

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農業ベンチャーと法務

現在、農業は日本の産業の中でも大きく注目されています。そして、農業ビジネスへ参入するベンチャー企業も次々に誕生していています。

農業への参入は、農作物を自ら作るという方法だけでなく、農業に関連する分野への参入という方法によるものも多くみられます。スマート農業のためのシステム提供や農業者と消費者を直接結ぶプラットフォームビジネス、海外進出や六次化などのための農業コンサルタントなどは農業ベンチャーの代表格とも言えるでしょう。

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生産者の法的責任

農産物を食べた消費者が食中毒になった場合、その農産物を生産した農家・農業法人はどのような法的責任を負う可能性があるのだろうかと心配になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

日本だけでなく世界各国には、PL法という法律がありますが、この法律により責任を負うことはあるのでしょうか。また、PL法以外の法律によって責任を負うことはあるのでしょうか。

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